August 20, 2006

レポート~Jシリーズ@佐野坂 後半

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 全日本選手権が終わり、この佐野坂を入れて残り2戦となったJ-シリーズ。昇格、残留を気にする選手達にとっては正に正念場でしょう。

 スポーツクラス1年目の今年はランキングも気にしなければ、順位も気にしないので「ここで●位を取らないと…」とか「最終戦に行かないと…」などの気負いは全く無し。
 今回の目標は、「下りを楽しむ」 である。

 ここ佐野坂の名物は炎天下のゲレンデを直登する登りが語られる事が多いけど、下りも楽しいコースなのです。下りは登りの苦労が報われる楽しい下りで、一昨年レイアウトが小変更されて、よりチャレンジングになって抜きどころも増えコースの完成度を増している。
 
 7月29日
 試走を午前中に済ますために早めに会場に入る。雲行は怪しい。準備を進めていると「ポツリ、ポツリ…」と雨が落ちてきた。しかし、ここで試走をしなければ夕方にならないと走れない。BIKEに泥除けを付けてコースイン。レイアウトは殆ど変わっておらず、急なゲレンデと楽しいシングルトラック(ST)。登りは完全なパワークライム、下りはダウンヒルのスキルを要する両極端なものなのでタイヤチョイスも思い切った考えが必要。

 7月30日
 5:30に起きる筈が6:30に目が覚めた。正確には起こされた。9:00スタートなので結構時間が無い。朝ごはんは消化を考えて摂らない。ゼリー飲料と黒棒でエネルギー補給。
 天気は晴天。しかし夕方過ぎまで降った雨の影響でコースはマッドコンディション。このまま行けばコースは乾くと思うがスポーツクラスのスタートまでに乾くのは難しいというのが大半の声。前輪をマッドタイヤ(IRC スティンゴ)にするのは決めていたが、リアをどうするか。ミディアムタイヤを使うか、マッドにするか。結局、フレームへの泥詰まり、下りでのアドバンテージを優先して前後マッドタイヤを装着。そう、このRACEの目標は「下りを楽しむ」ことにある。バタバタと準備に追われてウォームアップはそこそこにスタート地点に着く。

 9:00スタートが切られる。中盤より後方からのスタートは混乱がつき物。斜め後方の選手のハンドルが絡みつき一瞬、ヨロめくがココは力技。肘を緩めたら負け。少し強引に切り抜けた。
 そのまま長いゲレンデ登りに突入。アップを殆どしていない脚にはとても辛い。元気な選手にバシバシ抜かれるがST前までにペースを掴めれば良いと思い慌てずに身体を温める。
 ST突入の手前では案の定、渋滞。慌てても仕方無いので一旦、呼吸を整える。スイッチバックの続く下りは前の選手を用意にパスすることが出来ないが、何箇所がオーバーテイクポイントが有るのでそのポイントを上手く使う。このぽポイントは近道では有るが、大きなドロップオフとなっていて、それなりのリスクも有る。

 2周目に入り順位は50〜60位前後。前回の試合、富士見と同じ辺りの順位だろうか。しかし身体は重くゲレンデの登りでもペースを掴むことが出来ない。富士見で競り合ったK崎くんにも既に先行されている。もはやこれまでか…。
 半ば諦め、残りの周回を消化することだけを考え始めたが長いSTの下りで流れが変わった。乾ききらないマッドな路面に手こずっている選手数人をパス、登りで先行された選手数人にも追いつくことができた。ドロップオフのオーバーテイクポイントで一気に抜き去ることが出来た。下りを楽しむ為に参加したRACEだけに痛快な一撃だった。

 3周目、最後の周回。順位は40番半ばだろうか?ここまでの感覚は抜かれた人数より抜く方が多かった気がする。
 最後のゲレンデを登る。この周回が最後、今までよりギヤを一枚重くして力を出し切る。泣いても笑っても最後の周回、後先の事を考えるのは止めて今出せる最高の速度を出すことだけを考える。後続とは距離が有りそうなので下りもミスをしない様に細心の注意を払う。
 弱りきった上半身が脚以上に疲労し、ハンドリングを安定させることが困難になっているのを感じた。そう思った矢先、何気ない所で転倒、若干では有るが後続との差を詰められる。STを下り、再び林道の登りに入る頃には脚はスカスカ、腕はボロボロ。後続との差を詰められない様に耐えるしか無かった。のSTの入り口で一人の選手が視界に入った。最後の最後に「RACE」をすることにした。
 緩斜面の下りで目一杯速度を上げて一気に追いつこう。「ガツン!」大きな衝撃がハンドルに伝わった。「パンクか?」と悪夢が過ぎったが、空気は抜けていない様だ。恐らくフロントサスペンションが底付きをしたのだろう。構わず速度を上げてST中盤の走行ラインがクロスする地点で一気に追いつきパス。STを出ると更に前方に選手が一人、小さく見える。一瞬「あぁ、追いつかないかな…」と思うがペダルに力が無い様だ。もしかしたら追いつけるかもしれない。最後の力をペダルに込めて追いつめる。林道を登り切る手前で抜くことが出来た。あとはカウンターアタックをされない様に注意してゴールラインを目指し41位でチェッカーフラッグを受けた。

 スポーツクラス1年目、様々な想いでスタートした今シーズンもこれが最後のRACE(最終戦は諸般の事情で参加することができません)たった3戦のシーズンだったが、1戦ごとに今までは見えてこなかったモノ、忘れていた感覚を思い出した有意義なシーズンだったと言える。
 自分が人生を歩む上でRACEがどんなモノなのか、思い知ったシーズンでした。

 来シーズン、新たな目標を掲げ、全国の会場で皆さんに会える事を楽しみにしています。



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